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2018-09-17 22:39:17第6回EVOCカンファレンス 2018 in HAKONE (2018.9.16) 午前の部 開催報告①


(更新1回目)第6回EVOCカンファレンス 2018 in HAKONE (2018/09/16)開催報告(作成中~♪) ****************

2018年9月16日に「第6回EVOCカンファレンス 2018 in HAKONE」 を実施しましたので、その内容を報告します。

EVOCカンファレンスは、2013年から毎年4月~5月にかけて箱根で4回、昨年は小田原市で開催、今年は再び箱根に戻り、この時期9月開催としました。当日は雨曇りの生憎のお天気でしたが、集合時間前後は雨も上がり、参加のみなさんを出迎えてくれました。

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開催内容

●イベント名 

「第6回EVOCカンファレンス 2018 in HAKONE」 
     
●テーマ 
「大容量バッテリー搭載 EV 時代と電動車輌推進に向けた世界的潮流への対応」

●開催日時 2018 年 9 月 16 日(日曜) 10:00~17:00 
●開催場所: 星槎レイクアリーナ箱根(箱根総合体育館) 2F 会議室及び駐車場
●出席者数 60名(EV個人参加:41名、団体・法人参加:19名)
●参加団体(以下11団体)
 行政、自治体 :神奈川県・山梨県・小田原市
 EVメーカー  :日産自動車(株)、三菱自動車工業(株)、
 EV関連会社 :ニチコン(株)、三菱電機(株)、TEPCO ホームテック(株)、(株)東光高岳
アユダンテ(株)、EV ステーション

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●プログラム
 
10:00~ 関係者紹介 代表挨拶

10:30~ 自治体プレゼンテーション(EV 及び次世代エネルギーへの取り組みと実績)
 ・神奈川県エネルギー課 グループリーダー 笠井様
 ・山梨県エネルギー局エネルギー政策課クリーンエネルギー推進担当 中込様
 ・小田原市環境政策課 栗田様

11:00~ EVOC メンバー とうがらしさん 突撃レポート
 ・福島県浪江町にできたリユースバッテリー工場の紹介

11:15~ 自動車メーカープレゼンテーション
 ・日産が推進する EV 事業 ~ バッテリーの再生利用について
   日産自動車株式会社 日本 EV 事業部 部長 小塚様

 ・日産における新たなクルマづくりへのチャレンジ
  ー 新型リーフに搭載した電動化 知能化技術 -
   日産自動車株式会社 第一製品開発部 部長 佐々木様

 ・強化される環境規制と電動化の動向
   三菱自動車工業株式会社 EV・パワートレイン技術開発本部
   チーフテクノロジーエンジニア(CTE) 百瀬様

13:15~ 世界の電動車輌と充電インフラ事情についての講演
   スマホアプリ「EVsmart」運営会社 アユダンテ株式会社 社長 安川様

13:45~ Vehicle to Home(V2H)の最新動向
 ・ニチコン株式会社 電源センター 蓄電システム企画部 部長 山本様

 

 ・TEPCO EVホームテック株式会社 省エネリフォームグループ 滝川様
  プレゼンター:株式会社 東光高岳 EVインフラグループ次長 村井様

 

 ・三菱電機株式会社 京都製作所 営業部 スマートエネルギー営業課 課長 多鹿様

14:45~ 座談会①(現EVの普及度合と次世代エコカーの行方)
  「2018年以降 EV は普及期に入るのか? EV はブレイクするか!?」
 パネラー:佐々木様・小塚様(日産自動車))、百瀬様(三菱自動車)、くまさん(EVOC)

15:45~ 座談会②(充電インフラの問題点と改善策)
 「大容量 EV への対応と充電マナーの啓蒙策」
 パネラー:安川様(アユダンテ)、小野様(EVステーション)、山本様(ニチコン)、瀬古様(東光高岳)、くまさん(EVOC)

16:30~ 質疑応答、記念撮影後 閉会
17:00~ 懇親会 
19:00 閉会

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カンファレンスの概要です。
まずは、EVOC代表 くまさんからの挨拶。司会はおなじみのカールさんが仕切ります。
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 EVOC活動の主旨は、EVの良さを伝えて、環境によいEVを啓蒙していくというのが本来の主旨。そのEVが使う電気がCO2を出しては何もならない。なので、EV=エネルギー問題と捉えている。太陽光でEVを走らせるというコンセプトも抱き、導入の推進もしている。
 日本全体では太陽光の割合が増えてきたが、まだまだ火力依存もある。再生可能エネルギーが普及して初めてEVのゼロエミッションの効果が最大限に発揮されるので、EVOCも引き続き、再生可能エネルギーの活用に関して、皆さんとともに啓蒙していこうという考えです。
 ヨーロッパから端を発した電動化の波は、世界中の流れになってきた。ドイツをはじめとしたEU、中国、インド、アメリカ(カルフォルニア州)など、盛り上がりを見せている。対して、日本はなぜEVに乗る人が増えないのだろう?我々がEVの良さをもっともっとお伝えていかないといけないと痛感している。
 また、昨今、異常気象が増え、その要因に地球温暖化が一つの理由といわれている。今年は、台風が非常に多く発生し、集中豪雨も多く発生した。もっともっとCO2を削減していかなければならない。先日、北海道では、大地震を発端に電力供給のブラックアウトが起こった。台風21号で大阪でも停電が発生した。これらをきっかけにV2Hをもっと見直して、災害時の電力供給をさらに充実していかなければならないと感じている。
 今回、V2Hのメーカーさん3社にプレゼンしていただきますが、皆さんには、最新のV2Hの動向を知っていただいて、太陽光発電(PV)とともにV2Hの導入も検討され、エネルギー問題の解決に向けて取り組んでほしい。



午前中は、神奈川県、山梨県、そして、小田原市各自治体から「EV 及び次世代エネルギーへの取り組みと実績について」それぞれプレゼンを行っていただきました。

トップバッターは、神奈川県エネルギー課 グループリーダー 笠井様です。
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・神奈川県では「かながわスマートエネルギー計画」を策定。基本的考え方は、集中型電源(原発、火力)から、分散型である再生可能エネルギー(太陽光など)を普及させること。
・太陽光発電普及のためには蓄電池が必要。また、分散型エネルギー電源として、水素から燃料電池で発電していく。
・普及活動については、EVは2006年から、FCVは2012年から始めた。
・「自動車新時代戦略会議」(経済産業省)の中で、2025年までに国では世界で販売する日本車をすべて電動車にするという。その電動車と定義されているものはEVPHEVハイブリッド車FCVの4つ。
・神奈川で推進している対象はEVとFCVの2つ。FCVは車としてだけでなく、水素エネルギーの需要を創出する役割があり、神奈川県として推進している。
・過去、経産省が策定した「次世代自動車戦略2010」で目標割合が立てられていて、2030年までにEV・PHVは20~30%。FCVは3%の目標を踏襲している。 
・2008年に電気自動車普及推進方策の策定を推進し、公用車投入、補助金を実施してきた。2014年までに3000台の目標に対し2012年に達成済み。現在11545台、県レベルでは日本一。
・個別に打ってきた施策として、「かながわEVシェアリング IN 箱根」がある。客・ホテル従業員も使う。
・ゼロエミッションツーリングを2年間実施、その後、JTBと日産自動車が、電気自動車のカーシェアリングを全国の旅館・ホテルで実施している。
・ワークプレースチャージングを推進し、マンション住まいのEV利用に対する一つの解決として通勤場所で充電できるようにする。通勤車両を使って事業所にV2Xを導入する事業者に、モデル的に補助する。
・普及活動として、親子で学ぶEV教室を昨年始めた。
・一つに、みなとみらい日産自動車グローバル本社にて、モデルカーをつかったEVの実験。
・もう一つ、関東三菱自動車販売の戸塚店でV2Hの機器について説明、PHEVの試乗実施、お子さん、親御さんにアピール。非常に人気で抽選となっている。
・「神奈川県EV・FCV認定カード」の発行し、県営の駐車場50%オフ割引が可能。神奈川県民はぜひご利用ください。
・FCVの最大の問題は、水素ステーションが少ない・営業時間が限られていること。
・ただし、現在FCVは、国、県の補助で半額近くとなり、トヨタの残価設定ローンで安く乗れるようです。
・FCVは、バス、フォークリフトへの展開を進めている。横浜市の風力発電、ハマウイングでは発電した電気で水素をつくり、その水素でフォークリフトを動かす実証実験(トヨタ、環境省、県、横浜市)が行われている。
・横浜赤レンガ倉庫で「エコカー試乗会」を実施した。今年度は11/25に、日本大通を歩行者天国にして実施予定。今年もEVOCさんに引き続きご協力をお願いします。


続いて、山梨県エネルギー局エネルギー政策課クリーンエネルギー推進担当 中込様です。
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・山梨県は全国トップの日照量を有し、豊富や水や森林、豊かな自然を利用した太陽光発電、水力、バイオマス発電など、多様なクリーンエネルギーの活用が盛ん。
・山梨県のマイカー保有率が高く66台/100人。成人一人一台。CO2の排出量も多い。総排出量は756万トン、運輸部門は233万トンと3割を占める。
・エネルギー政策の方向性として、「やまなしエネルギービジョン」をH28年に策定
・次世代自動車の新規登録の割合、32%(2012年)→70%(2030年)の目標を設定。
・ここでいう、次世代自動車は、EV、FCV、PHEV、ハイブリッド車、天然ガス自動車も含む(国の定義と同じ)。
・次世代自動車の普及状況はハイブリッド含めて5万台(7%)と低い。
・普及促進のための取り組みとして、富士スバルラインのマイカー規制(富士山自然保護、交通渋滞緩和のため)7/11-9/10の63日間実施中、CO2を一切発生しないEVとFCVは走行可能とした。
・マイカー規制始まりに、「EV/FCVパレードラン」を実施し、走行の様子をマスコミ通じて発信。2017年にはEVOCメンバー含めて36台が富士スバルラインを5合目まで上った。
・2018年7月には、EVOC、日産自動車、甲斐日産自動車の34台がスバルラインを走行。
・今年は、トークイベント、リーフのオープンカーの展示など実施。
・パレードランやイベント終了後、さまざまな媒体でPRしてもらったおかげさまで、マイカー規制中、利用者が昨年度より90台増え360台ほどとなった。
・富士北麓駐車場の芝生広場では「次世代エコカー&エネルギーフェア」として、EV・FCV・PHEVの「展示会、試乗会、V2Hシステムの実演も実施。
・県民の日のイベントに合わせて、県立の球技場にて「次世代エコカー&エネルギーフェア」開催、次世代自動車の展示やV2Hシステムの実演を実施。
・県内の2箇所で、展示会試乗会実施予定。一般市民対象で、県庁を出発、甲府市内のFCVバスの試乗会を予定している。
・今後も、EVシェアリング、防災訓練でのEVの活用、山梨の美しい環境を次世代に残すため、環境負荷の少ない次世代自動車普及促進進めて行きたい。



そして、最後は、小田原市環境政策課 栗田様からのプレゼンです。
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・小田原市は、神奈川県の西部に位置し、比較的温暖。人口19万1千人。自然環境が恵まれているので、豊かな森、里、川、海を保全していこうという視点がある。
・エネルギー計画を平成27年度から策定して取り組んでいる。
・具体的な事例として、「COOL CHOICE事業」(環境省で推進)に賛同、温室効果ガスの削減、省エネ化に取り組んでいる。
・観光イベントとしては、小田原ちょうちん夏祭り、小田原酒匂川花火大会、小田原梅まつりでの、のぼり旗への「COOL CHOICE」ロゴ掲出など、PR活動実施している。
・2つ目の取り組み事業が、小田原スマートシティプロジェクト(平成10年に発足した「小田原低公害車普及促進会議」から変わって、平成24年から新たなネーミングで設立)
・「青く澄んだ空を子どもたちにバトンタッチしよう」のキャッチフレーズで小田原市をスマートシティにしようと目指している。
・この小田原スマートシティプロジェクトとの連携イベント実施し、昨年も、小田原スマートシティフェアで、EVOCさんに展示車、試乗コーナーで協力いただいている。
・今年平成30年、小田原低公害車普及促進会議発足から設立20年を迎える節目の年。今後も次世代自動車普及・促進を積極的に進めていきたい。地域、事業者の皆さんと一体となって、密着した取り組みが必要と考えている。


今回初の試みとして、EVOCメンバーからのプレゼンを行いました。「リユースバッテリー工場 突撃レポート」と題しまして、とうがらしさんから、4Rエナジー社の福島県浪江町にできたリユースバッテリー工場の紹介をしていただきました。
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・フォーアールエナジー株式会社は、日産自動車、住友商事の2社が出資してリーフ発売の前(2009年)にできた。
・車両搭載のバッテリー容量保障で交換となった後の再利用をどうするかというのからスタート。
・実際の工場稼働は2018年3月26日。当初の電気自動車の補助金による保有義務6年の縛りがあったので、その6年後を見据えて準備を進めていたが、結果として今年となった。
・リーフの初期モデル24kWhに搭載されているバッテリーモジュールは48個。
・24kWhバッテリーの1モジュールに4枚。参考までに30kWhには8枚で少しモジュールが厚くなる。
・バッテリーは均一に劣化せず、シート単位で劣化する。一枚については70%を切るものもあり、80%、90%というのもある。これらを選別して再利用する。
・4Rというのは、再利用(Reuse)、再販売(Resell)、再製品化(Refabricate)、リサイクル(Recycle)。
・電気自動車の再生バッテリー向けの用途以外にも、劣化度合いによって使い分けている。中くらいはフォークリフト、一番劣化がすすんでいいてもまだまだ使えるので、家庭用の蓄電池に利用。
・24kWhのバッテリーは300kg、積み重ねてはいけない。隙間を空ける必要がある。大量に搬送しても保管はできない。効率をどうやって上げるのかが課題。
・バッテリーの測定室は25℃に設定、空調管理されている。
・リーフのバッテリーモジュールは大変汎用性が高い。EVコンバート会社さんが利用しやすい。
・まだ発売前だが、「オフグリッド型外灯」ということでリーフのバッテリーパックをつかったLED外灯へ使われるという。
・組み直しで90%近いのも作れるとのこと。ただし、日産では、再生品は10セグ保障と発表している。たくさんあるものをSOH77~78%くらいを目標で効率的に組み合わせている。
・現在受け入れているのはリーフ24kWhパックのみ。30kWh以上や他のメーカーのバッテリー搬入はされていないが、EVが増えていけば、容量を問わず再生をしていく姿勢でいる。


そして、午前中最後は、今後のEVはどうなっていくのか、参加のみなさんが期待の日産自動車、および、三菱自動車からのプレゼンテーションです。

まずは、日産自動車株式会社 日本 EV 事業部 部長小塚様より、「日産が推進する EV 事業 ~ バッテリーの再生利用について」ついて、ご説明いただきました。
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・EVを取り巻く環境について世界的にEVを加速する動きがでている。
・ヨーロッパでは一番売れている国はノルウェー。自然環境、エネルギーに対して感度が高い国でもある。
ノルウェーの道路にはEV専用レーンがある。街中には、ほぼ無料の普通充電器があり、通勤でEV利用、勤務中に充電、ほぼタダで帰宅できるなど、非常に優遇されているのが理由の一つ。
・次にオランダ、ガスの規制が追加となると、さらに伸びてきた。
・昨今、全く動きが見えなかったドイツが動いてきた。また、フランスなど、大国が少しずつ加速しEUで売れてきた。
・中国ではナンバープレートを先に抽選で購入する。EV枠はガソリン枠より余裕があるので、EVが売れている。
・以上のようなEVの取り巻く環境で、車を売るだけでなくインフラをどうするのか、お客様にどう利便性を感じてもらうのかを検討し実現に向けて取り組んでいる。
・一方、EVを持つことの喜び・満足感・こんないいことがある、というのをどうしたら作れるかというのを取り組んで行きたい。

・日産のCO2の削減目標は2050年までに90%削減する。ガソリン車、ハイブリッドでは、大体50%くらいが限界なので、電気自動車でなくては成し得ない状況にきている。
・オリンピックの年2020年に向けて、日本でも大きな会社が参入してくるのではないかと。いろんな車種が出て、いろんなお客さんに合ったモデルがでてくることで、さらにEVの発展ができるのではないかと期待している。

・今年度初め、リーフの国内販売台数累計が10万台を達成した。多くのみなさまに乗っていただいた結果だと思っている。
・注目していただきたいことは、中古車の販売状況。これまで、新型車にとにかく乗ってもらうという取り組みだったが、買い換え後の車はどうするかというフェーズになってきた。
・EVの中古車市場を築けなかったというのが実際のところ。2013年以降販売台数が伸びなかったというのもあるが、昨年新型40kWhが出て中古車市場に変化が出てきた。
・距離は少なくても、中古なので値段も安い。電気にトライしてみるかというお客さんが非常にたくさん出てきた。

・EVならではの価値、今後、どういうことを考えているかということは、まず、EVのカスケードリユースというのが全体のシナリオとなっている。
・まずは、車は一回乗っても、劣化の少ないものは、中古車として一般のお客様に乗っていただく。バッテリーのセグが欠けていてもまだ車として使っていただく。
・さらに劣化したバッテリーの車は、用途限定での活用を考えている。たとえば、工場の中で構内車として中古車を活用していただくなど。
・その次にどうするのか、それは“バッテリー”として活用していく。
・一つ目に、バッテリーを再生して車に載せるもの。二つ目に、少しセグがかけているものを定置型のバッテリーへ再利用。三つ目に、最新の用途として考えているのは、充電のインフラへ蓄電池として活用する。
・今後はバッテリー容量が増える車が出てくる。一方、QCの設置には大容量となると電気料金コストがかかる、大容量の電気が使われる。
・そこで、夜間のタイミングで蓄電池に電気を貯め、大容量バッテリー搭載車がやってきたときに、その電池から充電をすることをすれば非常に効率的なエネルギーの使い方ができるのではないか。
・車に載せるようないい性能のいいものでなくて、定置型のバッテリーとして使えるものを充電器の横に置いておく。フォーアールエナジーさんと、補助金を受けて現在開発に取り組んでいる。
・それが実現できれば、車として人生を終えると、バッテリーとしての人生を歩み始めるとうシナリオが書ける。
・それでも使い切ったバッテリーとしては、原材料まで分解、再生利用している。

・事例として、住友商事と実証実験中の未来の島、鹿児島の甑島(こしきじま)での共同プロジェクトについて紹介します。
・車として使えないバッテリーをたくさん外して置いている。そこに太陽光発電の電気を貯め、そこから電気を使っている。バッテリーを媒体として電気の循環を実現していく。
・貯めたものを、車へも充電し、走る。島全体がクリーンエネルギー、エネルギーの再生利用というのがメインに活動しているプロジェクト。

・今年、西日本の豪雨、北海道の地震など、大変な思いをされているかと思います。そのなかでEVはどういった価値があるかということを改めて考えた。
・非常時、停電が起きガスとか水とかが止まった後、一番早く復旧するのは電気。75%のレベルで3日目には戻ってくる。この間をどうやって過ごすのかというところに、役に立てることではないか。
・EVを通常は車として使う。何かあった時に蓄電池としての価値をEVが発揮できる。EVでなくても、EVの再生利用バッテリーを使った定置型蓄電池でもその役割を担える。
・北海道の地震でもL2Hを利用して、近所の方にスマートフォンの電気とか、お湯を沸かして役立った事例を聞かせてもらった。
・京都の銀行さんでも、必要最低限の業務遂行のために、L2Hを介してお店のほうに電気を戻している。
・介護福祉施設にも用途としてあり、電気がなくて暗くなってしまったとき、介護者、高齢者は非常に不安になってくるので、電気を戻していくということが必要なのだと思う。

・再生利用の研究をしたいのですが、中古車市場にながれていて、バッテリーが帰ってこない。それはしょうがないとして、時間をかけて、エネルギーの再生、環境にやさしいエネルギーの使い方を今後も考えて行きたい。


そして、同じく、日産自動車株式会社 第一製品開発部 部長 佐々木様からは、「日産における新たなクルマづくりへのチャレンジー 新型リーフに搭載した電動化 知能化技術 -」と題しまして、リーフに搭載されました技術に関して、裏話を盛り込んでいただき、プレゼンしていただきました。


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・自動車普及によって生じた4つの課題、①エネルギー資源、②地球温暖化、③渋滞、②交通事故、この4つの課題に対して、電動化と知能化で対応していく
・電動化によりエネルギー資源の負荷低減、CO2排出量削減に貢献、地球温暖化防止に貢献、知能化によって渋滞解消、交通事故削減を目指す。
・電動化技術は、スマートハイブリッドを皮切りにし、FRハイブリッド、FFハイブリッド、e-POWER、リーフに代表される完全電気自動車で実現。
・知能化技術には関しては、アラウンドビューモニター、スマートルームミラー、インテリジェントパーキング、自動運転技術のプロパイロットが代表例。
・2010年初代のリーフが目指したものは、ゼロエミッション、充電インフラ、電力インフラとしての活用(L2H)で、先駆的な意味をもった車。
・新型リーフでは、先の4つの課題に解決に向け、EVをさらに普及、だれもがほしくなる車を目指して開発した。
・日産インテリジェントモビリティというコンセプトを取り入れ、車での移動を、わくわくする体験にかえていく。
・(1)インテリジェントドライビング、(2)インテリジェントパワー、(3)インテリジェントインテグレーションの3本の柱で構成され、(1)は自動運転、(2)はより楽しい走りの提供、(3)はつながることで便利さと快適さを提供することを目指す。

・新型リーフの心臓部の刷新として、モータパワーが80kW→110kWと向上(108馬力→約150馬力)、バッテリー容量が24/30kWh→40kWhまで向上させた。
・インバータの進化として、冷却構造の合理化(冷却水路の見直し)により軽量化と高効率化と進化させた。
・モータは同じものだが、使い方に改良を加え、回転数とトルクのバランスをとり、損失を25%削減している。
・その結果、0→100km/hに到達する時間は旧型と比較して-15%に短縮、中間加速は30%短くし加速感を向上させた。トルク新旧比較では2割ほど力強い物となっている。
・バッテリー容量60%増に対し、重量増は25kg(+9%)に抑えた。
・フロントウインドウにはラミネートガラスとし防音性向上、ダッシュボード、ルーフ、フロアトリムには吸音構造化し、音の進入経路となる隙間をなくした。その結果、騒音レベルは価格帯が倍のプレミアムセダン並みの圧倒的な静けさを実現した。
・実用電費の向上にも相当重点を置き、空力性能を追求した。新設計のアンダーカバーにより、Cd値を0.29→0.28に低減した。
・リアサスペンションメンバーに当たる風も、リフレクターの形を変えて当たらないようにしているなど、細かな改良をしている
・JC08モードには影響ないが、実用電費に影響のある横風を受けたとき空気抵抗の低減も行っている(4°車両を傾けて状態での設計)
・過去3つあったペダルが、AT化で2つ、そしてe-Pedalで1つで済むようになった。ブレーキ要らず、走りきる運転のしやすさを向上。
・車速が下がってくると、モータで減速、停止後は自動的に摩擦ブレーキ作動、“かっくん”ブレーキがない停止感覚はプロドライバのようなスムーズさを実現。
・アクセルオフでSTOP&GO、信号待ち、坂道、滑りやすい路面にも、アクセルだけで止まることができる。
・通勤経路を模擬し、日常のおよそ9割の減速走行をアクセル操作だけでカバー。
・減速加速度は、ノートe-POWERでは、0.15Gに対して、リーフでは0.2Gまで強めている。
・上り坂、下り坂も別々に補正。ブレーキペダルでコントロールしているような構成を取れるようにしている。
・工夫した一例として旋回性の向上がある。カーブを曲がる際、旋回初期に駆動力を上げて起こしてあげる、旋回終了ハンドルまっすぐするときに駆動力をちょっと下げる。結果的にロールレートのピークを下げて、ふらっとしない「すいすい感覚」を実現している。
・VDC (ビークルダイナミクスコントロール)のオンオフで、100km/hくらいでレーンチェンジをすると明確に分かる。あまり激しくやると、VDCオフのときにはスピンするので注意。
・離れていてもスマホ操作で乗る前エアコンや、WEB経由したインテリジェントスピーカのアレクサでも操作ができる。
・その他、完全オフグリッドを実現した中古バッテリーを蓄電池とした外灯を製品化、「THE REBORN LIGHT」をスタート。
・リーフの実績としては、グローバルでは33万5千台、日本では102,545台。走行距離は地球―太陽間9往復(グローバルでは29往復)

・30年にわたって堅持している日産の走りの理念がある。ドライバーと車は閉ループ系の制御系であるということに基づいて、①ドライバーの期待通りに動く、②期待に反した動きがない、③車両状態がよく分かる、これらのこの状態が担保されると、人とくるま、人と機械がより密接になっていく。
・この関係を保つと、疲れない、楽しめると定義できる。ガソリン車でもおなじだが、制御性が高いEVがより親和性が高い。

 


ご説明していただいた順番は逆になりますが、三菱自動車工業株式会社からは、 EV・パワートレイン技術開発本部 チーフテクノロジーエンジニア(CTE) 百瀬さんから、「強化される環境規制と電動化の動向」と題しまして、世界の規制状況、今後の動向についてご説明いただきました。

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・まず、強化される環境規制に関して再整理したい。
・COP21(第21回締約国会議)のキーワード「産業革命以前からの気温上昇を2度下げましょう」というのが基準となっている。
・IPCC(気候変動に関する政府間パネル: Intergovernmental Panel on Climate Change)は、「2℃シナリオ」達成のために、車のCO2排出量を60%削減と試算。
・世の中の車を6割EVにすればいいという考えもあるが、一方、車は2.7倍増えていくといっている。その増加分を加味するとCO2は8割減らさないといけなくなる。
・保有の車で8割削減するには、2050年以前にCO2削減を促進する必要がある。IPCC報告書では、2050年までには9割削減しないといけないという計算となる。
・日本約束草案では、2040年に全部電動車にしなさいことになる。結構厳しい話。これが、日本が全部電動車にするという根拠となっている。

・フランスは2040年までに電動化100%とか、EU全体でも2030年までに100%とか、各国が2030年とか40年に100%にすると言っている。
・日本もやっと気がつき、2030年までにEV/FCV20-30%としているが、いまひとつ目標が弱い。一つには、元々環境対策には一生懸命やっていて、”とりしろ”がないところが分かっているので、なかなか云えないところがあるのではないか。
・CO2ではないが、排ガス規制もすごく厳しくなる。ヨーロッパでは、2020年から更に厳しい排出ガス規制「EURO7」の施行が計画されていて、特にディーゼル車が苦しくなる。
・CO2からいうとディーゼルは優等生。燃費も伸びる。ヨーロッパは、ディーゼルを一生懸命やってきたが、排ガスがよくない。ディーゼルスキャンダルがあってから、CO2低減のメンバーには入れなくなった。
・この流れで、ディーゼル車のシェアが落ちていて、この2年で10%ダウンした。この理由は、3~5年後のリセールバリューが低くなるだろうという思いが強く働いているようだ。
・EUでは、車のオーナーシップは経済性だけで計算する。そうなると、EVやPHEVは意外と経済性で計算すると厳しい。だから政府は規制を入れ、補助金を出し、経済性をバランスさせて、みなさん買ってくださいとなっている。一方、ディーゼルは負のインセンティブが働いて減らされつつある。
・欧州では、燃費規制が5年ごとに厳しくなる。2025年にもハイブリッドでも達成できるか?というレベル。2030年なると絶対ダメ、プラグインハイブリッドかEVでしか対応できないレベルの規制になる。

・中国とかアメリカはどうなっていくのか。
・中国は、政府として電池産業を高め国として栄えて行きたいという思いがあり、電気自動車で勝負するというのが政府の狙いもあり、補助金も含め非常に支援されている。
・上海と北京と少しルールが違うが、ナンバープレートは抽選。その比率は、ガソリン0.2%の当選確率に対して、EVは25%くらいと聞いた。ナンバーの取得費用も100万円くらい違うという。
・北京にはEVタクシー(白タク)が多い。QCしながら車の中で客待ちする。スマホの中でお客見つけると予約を受けて走っていく。
・EV車は補助金がでて安い、ナンバープレートも安い、充電場所はある。北京は盛んに増えている。
・アメリカはトランプがもう環境規制やめたと言っているが、国の半分の州はパリ協定を守るといっている。

・PHEVについては、ようやく15万台(グローバル)という数字がみえてきた。PHEVとしては一番売れている車という評価。そうは言っても世界で15万台なので、まだまだこれから。
・先日新しくしたアウトランダーPHEV(19型)は、エンジン2.4Lに大きくし、余裕をもたせることでより静かになった。CO2排出も減らした。電池容量は15%増やし13.8kWhとなった。モータパワーも10%増やした。
・毎年EV走行モードの距離を増やしている。EV走行航続距離はJC08モードで60kmから65kmにアップ。WLTC(2018年10月から全面導入)という新しい方式にしても57.5kmと殆ど落ちずに、バッテリーの容量分アップ分増えている。
・WLCTには高速道路モードがある。EVでも高速走ってほしいというのがあるので、135kmまでちゃんと走るようにした。
・エンジン出力も、静かな低速トルクを発揮。吸気系排気系、室内音の低減と地道によくしていた。
・エンジン回転数に対して音の出し方のパターンを3つ持っている。走りたい人向け、ゆっくり静かに走りたい人向けなど、アクセルペダルで認識して変えている。

・これからどうなってくるのか。
・EVの航続距離をまじめに考えている。EV辞めたつもりはないので、EV出すための準備をしている。今後のドライビングレンジがどうなっている調査した。航続距離としては、EU規格で600km、500kmというのがひとつの基準となるだろう。バッテリーは50kWhが中心、その上にプレミアムとして分かれてくるのではないかと。下は安くて使いやすい車が出てくるのでは。
・他社PHEVもEV走行距離が増えてくる。EVモードで100kmをちゃんと走れるように目指しているようだ。

・充電特性はビールを注ぐのとよく似た特性で、満タンに近づくほどゆっくり充電される。
・SOC0%からの15分の充電量を計算してみた。充電器の充電能力(50kWから200kW)が大きくなっても、電池容量が(20kWhなど)小さいと入る電気は変わらない(走る距離は変わらない)。40kWhの容量となると、100kW以上のQC能力を上げても変わらない。
・実用上SOC50%からの継ぎ足し充電で計算すると、急速充電器の性能を向上しても充電性能は向上しない。
・充電器の性能の差はなくなり、車に乗っている電池の容量の差が出てくる。容量の差は内部抵抗の差で、容量が多くなると電池の並列が多くなるので内部抵抗が減るという理屈。
・EVは中心に使っていくけど、長距離は棲み分けなのかなと思っている。
・世の中、規制が厳しくなっていけば、電動車を中心に使っていくけれど、長距離走る機会が多い車はやはりPHEV。一方、街乗りを含め、便利でよく使うセダン系の車はEVのほうが絶対有利なので、棲み分けが必要だと思っている。


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お昼は、事務局が用意しましたお弁当(希望者のみ)を、皆さんで語らいながら昼食を取ります。
午後の部は、充電インフラ、V2H関連の話題となります。

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文責 EVOC報道担当 KAKU(藤田和弘)

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