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2013-02-05 15:20:56miniCAB-MiEV 373kmテスト走行<総評>

miniCAB-MiEV 総評>

MITSUBISHI

miniCAB-MiEV
CD16.0kWh
4シーターハイルーフ
チタニュウムグレーメタリック

装着OP:純正ナビ、急速充電リッド、キーレス、EVデカール、寒冷地仕様


 

2012年1月下旬、東京地方は生憎の雨から大雪へと変わり、最悪?の条件の中のテストドライビングとなってしまった。
以前からi-MiEVとどう違うのか、電費はどうか、走行性能はどうか、テストすることが使命と思い、関係者の方々の協力もありやっと実現したものである。
一般道や高速道路をを含む、370km以上にも及ぶテスト走行の結果を総評してみたいと思う。
<外観、内装デザイン>
ガソリン車のminiCAB VANは、2011年12月のマイナーチェンジを機にフロント及びリアの大幅なデザイン変更がなされ、同時にリリースされたminiCAB-MiEVも同じデザインとなった。特にリアのテールランプは特徴ある丸型4灯から一般的な長方形に変更され、他の軽VANと見分けがしづらくなってしまった。
個人的には丸型4灯のほうが、可愛らしくて好感が持てたので残念である。



旧型ガソリンminiCAB VAN

旧型miniCAB VAN

miniCAB-MiEVとガソリン車の外観を細かく比較してはいないが、EVのデカールなどをオプションで貼り付けない限り全く見分けがつかないのが残念である。
商用車なのでi-MiEVのように敢えてEVとの外観を変えていないのだろうが、EVを世の中に普及させたい当方としては甚だ残念だ。
内装やインパネも全くと言って良いほど変わっていないようだ。違うのはメーターパネルがi-MiEV同様のEV仕様になっているだけで一見ガソリン車と見分けがつかない。


miniCAB-MiEV 内観

車内むき出しの鉄板やシート素材など、シンプルすぎて評価できないレベル。
上級グレードでもパワーウィンドウのオプション設定すら出来ないのだ!?
まあCDというグレードは商用車であるから個人ユースを前提としていないので仕方ないのだが・・・シンプルイズベスト!ビジネス仕様なのだ。

<車内装備&操作使用感>
前回のレポートや映像レポートでも報告したが、雨の日に運転していて気になったのが、ワイパーの動作音が大きいこと。使い勝手はi-MiEVと変わらないが、ワイパーを駆動するモーターの音が如何にも古臭くて大きい。

また、3段階しかない送風ファンの音やエアコンを作動させたときに冷却ファンが車外で回り始めた時にも大きな動作音が容赦なく耳に飛び込んでくる。
走行中は駆動モーター&インバーターの音も随分大きいし、ブレーキ負圧ポンプの動作音も相変わらず大きい。

さらにロードノイズや雨がルーフに落ちる音、タイヤが小石を巻き上げフェンダーにあたる音、車外の騒音・・・とにかく音に関しては遮音対策が全くなされてない感じで、i-MiEVと比較するべくも無い。

因みにminiCAB-MiEVを返却しi-MiEVに乗り換えたとたん、高級車に乗り変えたような錯覚を覚えたのがとても印象的で、逆にi-MiEVはとても良く出来ていると軽自動車なんだと言うことを実感した瞬間でもあった。

ということでminiCAB-MiEVはだめなのか・・・!と言うと決してそうではない!
商用車として割り切っているが故、個人ユースとなるとそこまで行き届いていないだけなので、EVとしての基本性能は素晴らしいので、これから報告しよう。

<走行性能:一般道路>
雨&雪道、もちろんドライも・・・十分なシチュエーションが偶然にも今回のminiCAB-MiEVを出迎えてくれたのだ。
そして1年でもEVには試練の最低気温での走行。
テスト走行には最悪の条件だが、これが最低条件での走行実績になるので
参考にはなるはずである。



一般道でストップ&ゴーを繰り返す走行は、実はminiCAB-MiEVにとっては
一番得意な条件になるのだ。
なぜなら、miniCAB-MiEVの回生ブレーキは歴代(たかが1年半だが・・・)MiEV
シリーズの中でも最強の回生性能を持っているからである。
Dモードで普通に走行していてもアクセルを離すと回生ブレーキが強力に効く。
i-MiEV10&11型のBモードと同等の回生力だ。
さらにBモードで走るとトラックの排気ブレーキのように、まるでフットブレーキを踏んだようにブレーキがかかる。止まる寸前までフットブレーキを踏まないで済むのだ!もちろんその分電力を回収しているのでエネルギーの節約にもなるし走行距離も延びるのである。
私の一般道実証走行でi-MiEV10型との比較では10%以上電費が向上している。

因みにカタログ値はi-MiEVは10.15モードで走行可能距離160Km
miniCAB-MiEVはJC08モードで走行可能距離150Kmでほぼ同等の電費だ。

以下参照



出足加速はi-MiEVと比べても、良いわけではない。
上記の表をみても解かるように、最大トルク初期ではi-MiEV 18.4kgf・m
miniCAB-MiEV 20.0kgf・mで勝っているのである。
しかし実際運転してみるとアクセルの踏み代がi-MiEVより大きい、つまりアクセルストロークがあるので、踏んだ感じは加速が悪いように感じてしまうのだが、しっかり踏み込むとEVらしいトルクフルな加速はi-MiEV(M)と同等な感じだ。

乗り心地もそれなりに良く(i-MiEVよりは劣るが)一般の軽商用車と比較するならば、おそらく最高のランクだと思う。バッテリーを床下に搭載しているので、重心が低くとても安定した乗り心地を実現している。
タイヤをもっと高級な自家用車バージョンに換えれば更に良くなるだろう!
電費ももっと向上すると思われる。

ハンドリングも非常に安定しており、加減速による挙動の乱れは一切感じられないし、コーナリングも常用域(60kmくらい)では全く不安はない。
最近のコンパクトカー(1.000ccクラス)より安定しているのではないか・・・?
これもタイヤに依存すること大なので、高性能タイヤに換えれば更に良くなる事は間違いないと思う。ポテンシャルは相当に高いと思われる。

今回雪道&凍結路をこのノーマルタイヤで走行したが、TCL(トラクションコントロールシステム)&ABSのお陰で横滑りやスリップすることも少なく、もちろんノーマルタイヤのスリップは仕方ないのだが、安定感は確認できた。




充電リッドは両サイドに設置されているが、いづれもロックは無し。大丈夫か?
また、ラジオ用(カーナビのVICS情報も受信)アンテナが手動でやたら長く
出したり引っ込めたり(洗車や低い屋根など)がとても面倒である。
アンテナを低くしていると、VICS情報を受信しなくなる!
タイヤは細く小さなトラック用タイヤで空気圧も高めのセッティング。
トレッドパターンなども大きく転がり抵抗は大きそうだし、コーナリング性能も良くなさそうである。個人ユースの場合はまず先に入れ替えたい。


<走行性能:高速道路>



miniCAB-MiEVは車体形状からも解かるように決して空力性能はよろしくない!
さらにギア比が低い上、タイヤも小さいトラック用タイヤだから、高速走行が
得意な訳が無いのである。

(三菱のMiEV担当者曰く・・・miniCAB-MiEVは商用車で市街地走行を
 想定しているので、ロングや高速走行は想定していません・・・と)
この割りきりがお見事って言うか、オールマイティではないということだろう!



事実、miniCAB-MiEVにはi-MiEV(G)16kWに搭載されているA/Cを使った
冷却システムが省略されているのだ!
10.5kWの東芝SCiBならもともとi-MiEVにも冷却システムは無いのだが
GSユアサの16kWで冷却システムが無いとは正直びっくりした。
その代わりの対策としてminiCAB-MiEV16kWタイプでは急速充電時の
受け入れ電流を60Aに抑えて、バッテリーの発熱を制御しているのだ。
当然急速充電にかかる時間は長くなる。



80%まで最低で35分、先日高速を走行した後急速充電をしたら80%まで42分もかかる。95%までやったら1時間以上・・・ちょっと実用的ではないかも。
因みにminiCAB-MiEV 10.5kWの急速充電時間はi-MiEV(M)同様非常に早い。

今回の中央高速での安定感はi-MiEVと然程変わらなかった。
今回はminiCAB-MiEVの性格上、90km/h以上のスピードテストはしなかったが事実上の最高速は108km/hほどだと言う。
何もminiCAB-MiEVで100km以上出す必然性はなかろうと思われるのだが
そのような事を想定して設計されていないので、その領域での評価は意味が無いと感じている。
80Km/hほどで走行している限りでは素晴らしく安定しており(車重は約1100kgほどある)全く不安定さは感じられなかった。



高速での電費は前回のレポートでも書いた通りである。
i-MiEV 10型より10%落ちるようだ。
実は今回のi-MiEVはスタッドレスを履いていて、タイヤの差は殆んどないと考えている。もちろん両車高性能エコタイヤを装着すれば、更に走行性能、電費も向上すると思われる。また春秋は電費が更に良くなることだろう。


<miniCAB-MiEV 総合評価>
あくまで商業用車両として設計されているminiCAB-MiEV CDなので、装備面やオプションなど個人ユースでは不満な点が多く感じられるのは確かだが、現時点でどうしてもminiCAB-MiEVが欲しい人は、装備面を気にしなければお勧めだろう。


16kWと10.5kWどちらを選択するかは多少悩むが、急速充電を頻繁に利用できる(東京、神奈川、京都、大阪など)地域でロングはせず1日の走行距離が50kmほどであれば10.5kWがお勧めだ。
急速充電が15分ほどでほぼ98%まで充電できるからだ。
さらに頻繁にフル充電してもSCiB電池は耐久性に優れている。
ただし冬場は多少充電回数が増えてしまうのは止むを得ない。

真冬80kmくらい走行する方や、寒冷地の方は16kWにすべきだ。
またオプションで寒冷地仕様は必須。シートヒーターが必須だからである。

結論としては、個人ユーザーの場合、現行CDでは商業車ゆえに満足度が低い。
予想ではあるがいずれ個人ユース対応のワゴンタイプが追加されると思うのでそれを待ったほうが良いが、積載スペースの問題がなければi-MiEVを選択したほうがベストと思う。


くまさん記



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